赤い夕顔の花が咲いた


  赤い夕顔の花が咲いた17


城のあちこちから、火の手があが
りました。
消しても、消しても、次から次へ
と火の手があがります。
城の中は、火の海でした。



城内には、煙がもうもうとたちこ
めています。
家臣たちは、戦うすべもなく、安
全な場所をさがし、城内をあちこ
ち逃げまわりました。



これ以上、城内にいると危険です。
全員焼け死んでしまいます。
盛永は、城を脱出する決心をしま
した。
「みなのもの、城から脱出じゃ。
急いで用意をせよ」
盛永が、家臣たちにつげました。



家臣たちは、城を逃げ出す準備を
始めました。
そして、数人ずつ、めだたないよ
うに城をぬけだしました。
ところが、すぐ下条の兵士たちに
みつかってしまいました。


            つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の最南
端にあった「権現城」に伝わって
いる話をヒントにして、みほようこ
が書いたもの。