赤い夕顔の花が咲いた


 赤い夕顔の花が咲いた18


「家臣たちが、城を逃げだしたぞ。
早くつかまえろー」
下條時氏が、大声でどなりました。



家臣たちの後を、下条の兵士たち
が追ってきます。
家臣たちは、下条の追手につかま
らないように、山に向かって逃げ
ました。



逃げる後から、矢や小石がとんで
きます。とんできた矢や石で、何
人もの人がけがをしました。
中には、追手につかまり、やりで
殺された人もいます。



「さあ、犬坊。城から脱出するぞ」
盛永が、犬坊にいいました。
二人は、下条の兵士たちにみつか
らないように、こっそり城を出ま
した。
でも、兵士たちにみつかってしま
いました。


              つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の最南
端にあった「権現城」に伝わって
いる話をヒントにして、みほようこ
が書いたもの。