赤い夕顔の花が咲いた


  赤い夕顔の花が咲いた19


「城主の盛永が、逃げだしたぞ。
早くつかまえろ」
下条時氏が、大声でさけびました。



「殿様。さあ、早く。安全な場所
へ逃げましょう。
殿様、だいじょうぶですか」
「犬坊。だいじょうぶじゃ」
盛永と犬坊は、山に向かって必死
で逃げました。



後から、下条の兵士たちが追って
きます。
二人をめがけ、矢や石がとんでき
ます。



「殿様。いつも鹿狩りに行くあの
山へ逃げましょう。そうすれば、
下条の追手から逃げ切ることがで
きます」
盛永と犬坊は、いつも鹿狩りに行
く山に向かって逃げて行きました。


            つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の最南
端にあった「権現城」に伝わって
いる話をヒントにして、みほようこ
が書いたもの。