赤い夕顔の花が咲いた


 赤い夕顔の花が咲いた24


「犬坊。おまえは、わしの小姓に
なったことを、後悔しているのか」
「いいえ。後悔しておりません。
殿様にも、奥がたのお万さまにも、
かわいがっていただきましたから。
若君の長五郎さまとも仲良しにな
れましたし」



「それならいいが。わしは、今ま
で、領民のことも考えず、次から
次へと三つも城を作った。
重臣たちからも、領民のことを考
えなさいと何度も忠告された。



でも、わしは、その忠告を無視した。
そんなわがままなわしをみて、お
まえは城へきたことを後悔してい
るのではないかと、心配していた
のじゃ」


           つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の最南
端にあった「権現城」に伝わって
いる話をヒントにして、みほようこ
が書いたもの。