赤い夕顔の花が咲いた


 赤い夕顔の花が咲いた26


犬坊は、盛永やお万・長五郎とす
ごした三年間を、なつかしく思い
出しました。
三人とすごした三年間は、とても
楽しい生活だった。



でも、辛いことも多かったなと、
犬坊は思いました。
盛永さまに気にいられたことで、
家臣たちからしっとされ、いやな
思いをしたことも何度もありました。



領民や家臣たちから、盛永さまの
悪口を聞くたびに、くやしい思い
をしたこともありました。



私は、盛永さまに「少しは領民の
ことも考えてください」と、なぜ
いえなかったのだろうか。
犬坊は、盛永につかえた三年間を
思い出し、複雑な気持になりました。


           つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の最南
端にあった「権現城」に伝わって
いる話をヒントにして、みほようこ
が書いたもの。