赤い夕顔の花が咲いた


 赤い夕顔の花が咲いた27


私は、盛永さまが大好きだった。
盛永さまは、なくなった父にどこ
となく似ている。
そんな盛永さまを、私は実の父の
ように慕ってきた。



盛永さまも、みよりのない私をわ
が子のようにかわいがってくれた。
私は、お万さまも、大好きだった。
母のように慕っていた。
お万さまも、心から私をかわいが
ってくれた。



でも、盛永さまは、誰よりも奥がた
のお万さまを愛し、大事に思って
いたのだ。くやしい。
犬坊の頭の中を、これらのことばが
ぐるぐるとかけめぐりました。


           つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の最南
端にあった「権現城」に伝わって
いる話をヒントにして、みほようこ
が書いたもの。