赤い夕顔の花が咲いた30
「盛永さまは、私ひとりのものだ」
そうさけぶと、犬坊は、盛永の心
臓をめがけてさしました。
「うーっ」
盛永が、うめき声をあげました。
胸から、血がふきだしました。
「犬坊・・・何をするのじゃ。
わしは、誰よりもおまえが好きだ
った」
そういうと、盛永は息をひきとり
ました。
あっけない最後でした。
「私は、この世で一番好きだった
人を、やりでさし殺してしまった」
犬坊は、大声でさけびました。
そして、わぁーと泣きながら、山
の奥へ走って行きました。
つづく
初めてこの物語を読んでくださったかたへ
赤い夕顔の花が咲いた1
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080805#p1
「赤い夕顔の花」は、信州の最南
端にあった「権現城」に伝わって
いる話をヒントにして、みほようこ
が書いたもの。