赤い夕顔の花が咲いた


 赤い夕顔の花が咲いた34


「奥がたさま。追手につかまらな
いように、早く逃げましょう」
家臣が、お万をせかしました。



「奥がたさま。だいじょうぶですか」
「だいじょうぶよ。追手が近くに
せまってきたら、私にかまわず逃
げてくださいね」
「何をいいます、奥がたさま。
わしが、最後まで二人をお守りい
たします。どうか安心してください」
家臣がいいました。



ところが、下条の追手から逃げま
わっているうちに、お万たちは家
臣とはぐれてしまいました。
「奥がたさま」
「奥がたさまー。どこですか」
家臣が、遠くでお万をよんでいます。


             つづく



初めてこの物語を読んでくださった
 かたへ


     赤い夕顔の花が咲いた1


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080805#p1



「次の日」「次の日」と押せば、
「赤い夕顔の花が咲いた」を続け
て読むことができます。



「赤い夕顔の花が咲いた」は、
信州の最南端にあった「権現城」
に伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いたもの。