赤い夕顔の花が咲いた36
茂みの間から城をみると、城がめ
らめらと燃えています。
「城が燃えている。盛永さまや家
臣たちは、だいじょうぶかしら。
無事に城を逃げだすことができた
だろうか」
お万は、盛永や家臣たちのことを、
心配しました。
あの城は、領民たちの年貢で建て
た城。
領民たちが、一つ一つ石を運こび
苦労してつくった城。
その城が、燃えている。
城主の盛永が、あれほどまでに執
着した城とは、一体何だったのだ
ろうか。
お万は、燃えている城をみて、心
の中でつぶやきました。
「一日も早く、戦のない平和な世
の中になりますように」
お万は、心の中で祈りました。
つづく
初めてこの物語を読んでくださった
かたへ
赤い夕顔の花が咲いた1
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080805#p1
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て読むことができます。
「赤い夕顔の花が咲いた」は、
信州の最南端にあった「権現城」
に伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いたもの。