赤い夕顔の花が咲いた37
お万と長五郎は、下条の追手を逃
れ、一晩中山の中を歩きました。
東の空が、だんだんに明るくなっ
てきました。
「長五郎、疲れたでしょ。
だいじょうぶですか」
「だいじょうぶです」
「もうすぐ朝になりますよ。
戸口へ着いたら、そうべえさんの
家へ寄り、少し休ませてもらいま
しょうね」
「お母さま。そうべえさんて、誰
ですか」
「以前、城で働いていた人ですよ。
浪合の実家へ帰る時には、いつも
そうべえさんに送っていただいた
のよ」
お万は、そうべえのことを、長五
郎に話しました。
つづく
初めてこの物語を読んでくださった
かたへ
赤い夕顔の花が咲いた1
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080805#p1
「次の日」「次の日」と押せば、
「赤い夕顔の花が咲いた」を続け
て読むことができます。
「赤い夕顔の花が咲いた」は、
信州の最南端にあった「権現城」
に伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いたもの。