赤い夕顔の花が咲いた


 赤い夕顔の花が咲いた38


一時間後。
お万たちは、ようやくそうべえの
家にたどりつきました。
「ごめんください。そうべえさん
のお宅でしょうか」
「そうじゃが。どなたかな」
そうべえが顔を出しました。



でも、奥がたのお万だとわからな
いようでした。
うす汚れた野良着を着ているので
すから、無理もありません。



「そうべえさん。私、権現城の奥
がたのお万でございます」
「奥がたさま?」
「はい、お万でございます」



「あっ、奥がたさま。失礼しまし
た。奥がたさま。そんなかっこう
をして、どうなさったのですか」
そうべえが驚いて聞きました。


            つづく



初めてこの物語を読んでくださった
 かたへ


     赤い夕顔の花が咲いた1


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080805#p1



「次の日」「次の日」と押せば、
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て読むことができます。



「赤い夕顔の花が咲いた」は、
信州の最南端にあった「権現城」
に伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いたもの。