赤い夕顔の花が咲いた


 赤い夕顔の花が咲いた39


「昨夜、権現城は、下条の夜討ち
を受けました。
私たちは、浪合の実家に帰る途中
です。家臣と一緒だったのですが、
下条の追手を逃れているうちに、
はぐれてしまいました」



「奥がたさま。下条の夜討ちにあ
われたのですか。大変でしたのぅ。
殿様は、ご無事かな」
「さあ、わかりません。城も焼け
てしまったようで」



「何、城が焼けた?」
「はい。逃げてくる途中、城が燃
えていました。
そうべえさんに道案内をお願いし
たいと思い、ここへ寄りました。



昨夜から歩き通しなので、少し休
ませていただけないでしょうか」
「奥がたさま、さあどうぞ。
何もありませんが、中でゆっくり
休んでください」


             つづく



初めてこの物語を読んでくださった
 かたへ


     赤い夕顔の花が咲いた1


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080805#p1



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て読むことができます。



「赤い夕顔の花が咲いた」は、
信州の最南端にあった「権現城」
に伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いたもの。