赤い夕顔の花が咲いた


 赤い夕顔の花が咲いた49


父親の悪口を聞いた長五郎は、ど
う思っただろうか。
夫の盛永は、領民たちからそんな
ふうに思われていたのか。
お万は、おばあさんのことばを思
い出し、そっと涙をふきました。



「奥がたさま。わしが夕顔の花を
とったばかりに、いやな思いをさ
せてしまい申し訳ありません。
よかれと思ってしたことが、とん
でもないことになってしまいました。
ほんとに申し訳ありません」
そうべえは、お万にあやまりました。



「いいのよ、そうべえさん。
あなたを強くとめなかった私が悪
いのですから。
ちゃんと家のかたにことわって、
夕顔の花を分けていただけば良か
ったですね」



「奥がたさま。盛永さまのことは、
何も気にすることはありません。
悪口をいいたい人には、いわせて
おけばよいのです。
人の口には、戸はたてられません
から」
そういって、そうべえはお万をな
ぐさめました。


             つづく



  昨日の分は、こちら。


   赤い夕顔の花が咲いた48


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080922#p1




初めてこの物語を読んでくださった
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     赤い夕顔の花が咲いた1


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080805#p1



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「赤い夕顔の花が咲いた」は、
信州の最南端にあった「権現城」
に伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いたもの。