赤い夕顔の花が咲いた51
盛永さまが、「お万。お万は・・・
無事か」と寝言をいわなかったな
らば、私は盛永さまを刺し殺すこ
とはなかっただろう。
盛永さまは、なぜあんな寝言をい
ったのだろうか。
私は、盛永さまが誰よりも私を愛
してくれていると思っていた。
でも、盛永さまが愛していたのは、
私ではなく奥がたのお万さまだっ
たのだ。
だから、私は、しっとのあまり盛永
さまをやりで刺し殺してしまった。
盛永さまを刺し殺そうと思った時、
なぜなくなった両親の顔を思い出
さなかったのだろう。
二人の顔を思い出していれば、盛永
さまを刺し殺すことはなかっただ
ろうに。
犬坊の頭の中で、これらのことば
がぐるぐるとかけめぐりました。
「うー、わんわん」
突然、犬坊の目の前に、犬があら
われました。
つづく
昨日の分は、こちら。
赤い夕顔の花が咲いた50
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080924#p1
初めてこの物語を読んでくださった
かたへ
赤い夕顔の花が咲いた1
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080805#p1
「次の日」「次の日」と押せば、
「赤い夕顔の花が咲いた」を続け
て読むことができます。
「赤い夕顔の花が咲いた」は、
信州の最南端にあった「権現城」
に伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いたもの。
「赤い夕顔の花が咲いた」は、ま
だ続きます。
推敲が終わったら、つづきをのせ
たいと思います。