瑠璃寺の青獅子


  瑠璃寺の青獅子24


和尚は、滝つぼへおりて行きました。
すると・・・。
どこからかおごそかな声が聞こえ
てきました。



「仏師よ。おまえのおかげで、わ
しは何百年もの長い眠りからさめ
ることができた。ありがとう。
ある日、わしは、桐の木にとじこ
められてしまったのじゃ。



今まで、わしのことを気づいてく
れた人は、誰もいなかった。
だから、わしは二度と外へでるこ
とはできないとあきらめておった
のじゃ。



でも、おまえが気づいてくれた。
どんなにうれしかったか。
仏師よ、おまえはすばらしい仏師
じゃ。
わしは、おまえの志をついで、伊
那谷の人々をしっかり守っていこ
うと思う。



仏師よ、ほんとうにありがとう。
心やすらかに眠っておくれ。
今度は、わしがおまえを守る番じゃ」
すると、滝つぼの水面に、男が彫っ
獅子頭がぽんと浮いてきました。


             つづく



    昨日の分は、こちら。


    瑠璃寺の青獅子23


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20081018#p1




初めてこの物語を読んでくださっ
たかたへ


   瑠璃寺の青獅子1


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080926#p1



「瑠璃寺の青獅子」は、信州高森
町の瑠璃寺に伝わっている話をヒ
ントにして、みほようこが書いた
物語。



「瑠璃寺の青獅子」、無断転載・
再配布を禁止します。