風の神様からのおくりもの


 風の神様からのおくりもの2


「風の神様、風の神様。小桜でご
ざいます。
たった今、伊那谷に女の子が生ま
れたのですが、おぎゃーと泣きま
せん。



その子は私の国から、ある大切な
使命を持って、そちらの国へ行っ
た者です。風の神様、お願いです。
どうかその子を…、どうかその子を
助けてくださいませ」
その声は小桜姫でした。



「あのおしとやかな小桜姫が、こ
んなにあわてているようでは、よ
ほど急をようするようじゃな」
神様はさっと身支度をすると、
「ぴゅー」と風になり、伊那谷
むかってとんでいきました。



しばらくとんでいくと、下の方で
「ぴかっぴかっ」と、ほたるのよ
うに光っている家が一軒ありました。
「どうもあの家らしい」
神様は光っている家をめがけてお
りていきました。


            つづく



「風の神様からのおくりもの」は、
みほようこの初めての童話集・
「風の神様からのおくりもの」に
収録されています。







心を病む兄のために、明神様にお参
りする心優しい少女の話など4編。


信州諏訪の「風の神様」から聞いた
お話。
挿絵は長野博一先生。
心温まる創作童話。


童話集「風の神様からのおくりもの」


http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu1.html



http://www.bk1.co.jp/product/2056682