母の短歌117


たそがれて尚厳しき暑さのほてり残る

   入り来る風の生あたたかし



幾度も鍵をたしかめ床に入る

   ことにも馴れて老いひとり住む



緑増し稲田の水面せばまりて

   ウリカワの白花風のまに見ゆ



残暑の中咲く松葉ボタンの花

   閉ざす時も日毎に早くなり来ぬ