竜神になった三郎


  竜神になった三郎1


たてしな山のふもとに、小さな村
がありました。
あっちをむいても、こっちをむい
ても、山・やま・山。
さるやりす、かもしかや熊も住ん
でいる、山深い村でした。



その村に、太郎・次郎・三郎とい
う、三人の男の子が、仲よく暮ら
していました。
「太郎さと次郎さは、元気がいい
のぅ。いたずらもよくするし」
「それにくらべ、末っ子の三郎ちゃ
は、おとなしいのぅ。
誰ににたのじゃろ」



村の人々がいうように、三郎は大
人しい心のやさしいこどもでした。
兄たちは「三郎や、三郎や」とい
って、三郎をかわいがってくれます。
三郎も、兄たちが大好きでした。



「あそこの兄弟は、ほんとに仲が
いいのぅ」
「おらのとこは、朝からけんかば
っかり。
どうして仲良くできないのじゃろ」
三郎の兄弟は、人がうらやむほど
仲のよい兄弟でした。


               つづく



竜神になった三郎」は、信州諏訪の
「風の神様」から聞いたお話。



竜神になった三郎」は、みほようこ
の二冊目の童話集「竜神になった三郎」
に収録されています。