竜神になった三郎29
「おっかあ、もうお前をはなさな
いぞー」
「三郎さん、私ずっとあなたを待
っていたのよ」
二人は、湖の中をいつまでも泳ぎ
まわりました。
すると・・・。
「三郎、いろいろ大変じゃったのぅ。
お前の妻は、わしの娘じゃ。
三郎よ、娘を大切にしてくれてあり
がとう。
おまえがどんなに心のやさしい人間
か、よくわかった。
これからは、娘とともに諏訪湖に住
み、この地方の人々を、しっかり守
っておくれ。三郎、頼むぞー」
どこからかおごそかな声が聞こえて
きました。
竜神になった三郎は、今も諏訪湖の
奥深くに住み、妻と二人で仲良く暮
らしています。
「三郎さーん」
「おっかあー」
諏訪湖のほとりにたたずみ、湖をじ
っとながめていると、三郎夫婦の声
がどこからか聞こえてくるそうです。
おわり
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20090622#p1
初めて読んでくださったかた
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20090526#p1
「竜神になった三郎」は、信州諏訪
の「風の神様」から聞いたお話。
「竜神になった三郎」は、みほようこ
の二冊目の童話集「竜神になった三郎」
に収録されています。