鹿になった観音さま


    鹿になった観音さま1


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080606#p1


  「鹿になった観音さま」より


「タケル、チハヤ。どうした」
三郎は、犬たちに声をかけました。
でも、二匹の犬は、なきやみません。
ますますはげしくないています。
「どうしたのだろう。近くに何か
いるのだろうか」
三郎は、あたりをみまわしました。



「がさ、ごそっ」
どこかで音がしました。
すると、
突然、目の前に、大きな鹿がとび
だしてきました。



黄金色の美しい鹿でした。
鹿の体は、黄金のように、ぴかっ
ぴかっと光っています。
「わぁーっ。黄金色の鹿だぁ」
三郎は、びっくりして大声をあげ
ました。



「うー、うー」
「わん、わん、わん」
タケルとチハヤが、鹿のまわりで
ほえています。
鹿は、三郎にむかって突進してき
ました。
「あぶないっ」
危険を感じた三郎は、弓をかまえ
ました。



「えいっ」
三郎は、鹿をめがけて弓をひきま
した。
「ばしっ」
矢が、鹿の首にささりました。
「ばたんっ」
大きな音をたて、鹿がたおれました。



「黄金色の鹿をいとめたぞー」
三郎がそうさけんだ時、鹿はどこ
かへ姿を消してしまいました。
あっという間のできごとでした。