鹿になった観音さま


   鹿になった観音さま2


「なにかいるのだろうか」
和尚は庭にでて、あたりをみまわ
しました。
でも、なにもいません。
二匹の犬は、大声でなきながら、
裏山へはしって行きました。



すると・・・。
甲賀三郎兼家が、境内を通りかか
りました。
三郎は、鹿狩りの名人。
毎日山へ行き、鹿やうさぎ・いの
ししなどをとっています。
三郎は、村一番の金持ちでした。



「和尚さま。裏山で、タケルとチハ
ヤがほえているが、どうしたのかね」
「三郎さ。ちょうどいい所へきてくれ
た。
悪いが、裏山へ行って、犬たちの様
子をみてきてくれないか」


           つづく



      昨日の分は、こちら


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091103#p1



「鹿になった観音さま」は、信州の伊那
谷にある「立石寺」に伝わっている話を
ヒントにして、みほようこが書いた物語。