鹿になった観音さま


   鹿になった観音さま6


「ばたんっ」
大きな音をたて、鹿がたおれました。
「黄金色の鹿をいとめたぞー」
三郎がさけんだ時、鹿はどこかへ消
えてしまいました。
あっという間のできごとでした。



「おかしいな。たしかに首に矢がさ
さったのに」
三郎は、ふしぎなことがあるものだ
と思いました。
血のついた矢が、地面に落ちていま
した。



「黄金色の鹿は、どこへ消えてしま
ったのだろう」
三郎は、鹿をさがして、山の中をあ
ちこち歩きました。
はっと気がつくと、タケルとチハヤ
の声が聞こえません。

 
          つづく



    昨日の分は、こちら


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091107#p1



初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091103#p1



「鹿になった観音さま」は、信州
伊那谷にある「立石寺」に伝わ
っている話をヒントにして、みほ
ようこが書いた物語。