鹿になった観音さま


   鹿になった観音さま7


「タケル」
「チハヤ」
三郎は、大きな声で、二匹の犬の
名をよびました。
でも、犬たちはどこにもいません。
二匹の犬は、どこへ行ってしまっ
たのでしょうか。



三郎が、大きな杉の木の下を通っ
た時、根元で「ぴかっ、びかっ」
と光っているものがありました。
「なんだろう」



近づいてみると、小さな観音さま
でした。
身の丈は、二寸(六センチ)くらい。
黄金色の観音さまでした。
そして、観音さまの横には、犬の形
をした石が、二つころがっています。


            つづく



    昨日の分は、こちら


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091108#p1



初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091103#p1



「鹿になった観音さま」は、信州
伊那谷にある「立石寺」に伝わ
っている話をヒントにして、みほ
ようこが書いた物語。