鹿になった観音さま


  鹿になった観音さま12


「ほら、あそこ」
みると、小さな観音さまが一つ消
えています。
「ほんとだ」
二人は、びっくりしました。



「三郎さ。黄金色の鹿は、小さい
観音さまの化身だったのかもしれ
ないぞ」
「えっ、観音さまの化身?」
「そうじゃ」



「じゃあ、わしは・・・観音さまに・・・
矢をむけたということですか」
「そういうことになるのぅ」



「和尚さま。わしは、おそれおお
くも観音さまに矢をむけてしまい
ました。
わしは、どうしたらいいんじゃ」
三郎は、観音さまに矢をむけたこ
とを、心からくやみました。


            つづく



   昨日の分は、こちら


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091113#p1



   初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091103#p1



「鹿になった観音さま」は、信州
伊那谷にある「立石寺」に伝わ
っている話をヒントにして、みほ
ようこが書いた物語。