鹿になった観音さま17
「和尚さま。た、大変です」
小僧が、和尚の部屋へ、とびこん
できました。
「なにごとじゃ。そうぞうしい」
「裏の畑に、大きな石がころがっ
ています」
「なに? 大きな石がころがって
いると。どんな石じゃ」
「三メートルくらいある、大きな
石です」
和尚は、畑へいってみました。
畑には、大きな石がころがってい
ました。
「みごとな石じゃのぅ」
「わん、わん、わん」
石のまわりを、タケルとチハヤが、
うれしそうに走りまわっています。
その後、大きな石のあるあたりを、
「立石」とよぶようになりました。
そして、「普門寺」とよばれてい
た寺も、いつしか「立石寺」とよ
ばれるようになりました。
おわり
昨日の分は、こちら
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091118#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091103#p1
「鹿になった観音さま」は、信州
の伊那谷にある「立石寺」に伝わ
っている話をヒントにして、みほ
ようこが書いた物語。