開善寺の早梅の精


    開善寺の早梅の精9


「文次さん。私の家へ寄っていきま
せんか」
「えっ?」
文次は、心をみすかされたような気
がし、どきどきしました。



「私、文次さんと、ゆっくりお話が
したいのです。おいそぎですか」
「いいえ」
「じゃあ、よっていってくださいな」
「梅香さん。ほんとうにおじゃまし
ていいのかな」
文次が、ためらいがちに聞きました。



「どうぞ、えんりょなく。おいしい
お酒をごちそうしますよ」
文次は誘われるままに、梅香の後
をついていきました。
すると、りっぱな書院に案内されま
した。
床には、「一期一会」の軸がかかっ
ています。


            つづく



   昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100102#p1



   初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091225#p1




「開善寺の早梅の精」は、信州の
伊那谷にある「開善寺」に伝わっ
ている話をヒントにして書いたもの。