風の神様からのおくりもの15
遠くに住んでいるおばあさんも、
まゆのことを心配して、時々様子
をみにきてくれました。
「まゆのこと、けっしてあきらめ
てはいけないよ。
まゆは、きっと歩けるようになる
からね」
おばあさんは、いつも二人をはげ
ましました。
八カ月がすぎました。
まゆは、まだ首がすわりません。
だきあげると、首がぐにゃっとし
ます。ねがえりもまだできません。
まゆができることは、やさしいこ
とばをかけると、うれしそうにに
っこりとほほえむだけでした。
「まゆ、おはよう。元気かな。
今日はとても良い天気だよ」
「まゆ、散歩に行こうね。
外は気持がいいよ」
「まゆ、体をふいてあげるね。
ほら、気持がいいでしょ」
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100520#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100507#p1
「風の神様からのおくりもの」は、
みほようこの初めての童話集・
「風の神様からのおくりもの」に
収録されています。
心を病む兄のために、明神様にお参
りする心優しい少女の話など4編。
信州諏訪の「風の神様」から聞いた
お話。
挿絵は長野博一先生。
心温まる創作童話。
童話集「風の神様からのおくりもの」