かきつばたになった少女13
その日の夕方。
かきつばたから、きすげの花を
もらったおばさまは、とてもう
れしそうでした。
「かきつばた、ありがとう。
きすげの花をみることができて、
うれしかった。
もう何もおもいのこすことはな
いわ」
「おばさま、今日ね、霧ケ峰で
山彦という少年に会ったわ」
「えっ、山彦に?」
おばさまは、驚いたような顔を
しました。
「おばさまは、山彦さんのこと
を知っているの?」
「ええ、よく知っていますよ。
だって、山彦は私が大好きだっ
た人のこどもですもの」
つづく
前回の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100709#p2
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100627#p2
「かきつばたになった少女」は、
信州の霧ケ峰高原にある八島湿原
に咲いているかきつばたの話。
信州諏訪の「風の神様」から聞
いた話。
「かきつばたになった少女」は、
みほようこの四冊目の童話集
「ライオンめざめる」に、収録
されています。
童話集「ライオンめざめる」は、
2006年10月、「鳥影社」
から発行されました。
童話集「ライオンめざめる」
http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu4.html