かきつばたになった少女


 かきつばたになった少女19


「そんなことはない。
きみの顔は、女神さまのように
美しい。
まぶしいくらいの美しさだ」
「山彦さん、おせじをいわないで」



「ほんとうだよ。きみの顔は、な
んともいえないやさしい顔だ。
きみの心のやさしさが、そのまま
顔にでている」
「でも・・・今水面に顔をうつし
てみたら、私はとてもみにくい顔
をしていたわ」



「それは、強い風が吹いてきて、
水面が波立ったからだよ」
山彦がいいました。
でも、かきつばたは、山彦のこと
ばを信じることができませんでした。

 
            つづく



   前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100716#p2



   初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100627#p2



「かきつばたになった少女」は、
信州の霧ケ峰高原にある八島湿原
に咲いているかきつばたの話。
信州諏訪の「風の神様」から聞
いた話。



「かきつばたになった少女」は、
みほようこの四冊目の童話集
「ライオンめざめる」に、収録
されています。



童話集「ライオンめざめる」は、
2006年10月、「鳥影社」
から発行されました。





    童話集「ライオンめざめる」


http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu4.html