井戸で鳴く黄金色のにわとり


  井戸で鳴く黄金色のにわとり1


昔、信州の伊那谷に、大島城とい
う城がありました。
「大蛇ケ城」とも、「台城」ともよ
ばれています。
城は、「大蛇ケ淵」をのぞむ段丘の
高台にありました。



元亀二年。
甲斐の武田信玄は、飯田城代の秋
山信友に命じ、大島城を大改修し
ました。
大島城は、武田軍が東海地方へ攻
略するための拠点としてつくられ
た城。



信玄は、城を改修するために、伊
那郡下から強制的に人足を集めま
した。
大島城の城代は、武田信廉(のぶ
かど)。
信玄の弟でした。
信廉は、和歌や書・絵・彫刻など
をたしなむ風流な人でした。



城には、るり姫という美しい姫が
います。心のやさしい姫でした。


            つづく



「井戸で鳴く黄金色のにわとり」
は、信州の伊那谷にあった「大島
城」に伝わっている話。
その話をヒントにして、みほようこ
が書いたもの。