井戸で鳴く黄金色のにわとり


 井戸で鳴く黄金色のにわとり5


「こっこ、おいでー」
こっこは、「こっこっこ」と鳴き
ながら、姫の後をついてきます。
「私は、歌をよみ、絵を描いてい
るおとうさまが、大好き。
でも、戦に行くおとうさまは、大
嫌い。



おとうさまたちは、なぜ戦をする
のだろう。
戦国の世だから、敵がせめてくる
こともある。
一族や城下の人々を守るために、
敵と戦うのはしかたがない。



でも・・・領地を広げるために、
ほかの諸国と戦をしているおとう
さまたちをみているのはつらい。
戦のない平和な世の中は、いつく
るのだろうか」
姫は、淵にむかって、そうつぶや
きました。



信廉から戦の話を聞くたびに、姫
は心の中でさけびます。
「私は、武将の娘。
でも、私は、戦が大きらい」と。
そして、「一日も早く、みんなが
安心して暮らせる平和な世の中に
なりますように」と、祈りました。


             つづく



    前回の分は、こちら


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100907#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100904/#p2



「井戸で鳴く黄金色のにわとり」
は、信州の伊那谷にあった「大島
城」に伝わっている話。
その話をヒントにして、みほようこ
が書いたもの。