井戸で鳴く黄金色のにわとり7
「信忠か。てごわい相手じゃのぅ。
いつ伊那谷にせめてくるのだろうか」
「さあ、わかりません。
戦の準備をしておくようにとの知ら
せでございます」
信廉が、知らせにきた人と、小声で
話していました。
織田信忠といえば、信玄おじさまの
娘・松姫さまと婚約していたかた。
戦国の世でなければ、信忠さまと松
姫さまは夫婦になっていただろう。
松姫さまは、婚約が破棄されてから
も、ずっと信忠さまのことをしたっ
ていると聞いている。
「いよいよ、おそれていた戦が始ま
るのか」
姫は、城下の人々のことを心配しま
した。
「吉岡城の下条が、織田に降参した
らしい」
「松尾城の小笠原も、降参した」
つづく
前回の分は、こちら
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100909#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100904/#p2
「井戸で鳴く黄金色のにわとり」
は、信州の伊那谷にあった「大島
城」に伝わっている話。
その話をヒントにして、みほようこ
が書いたもの。