井戸で鳴く黄金色のにわとり


 井戸で鳴く黄金色のにわとり19


「く、くっ、く」
こっこが、苦しそうに鳴いてい
ます。
「こっこ。がんばってね」
姫は、こっこをはげましました。



夜になりました。
「みなのもの、これ以上城にい
ても無駄じゃ。
これから、みんなで故郷の甲斐
へもどる。
みなのもの、旅の用意をせいー」
信廉が、城内にいる人々につげ
ました。



人々は、急いで旅の用意をしま
した。
「さあ、城を脱出するぞ。
みんなで故郷の甲斐にもどるの
じゃ」
そうさけぶと、信廉はみずから
城に火をつけました。
暗闇の中で、城がめらめらと燃
えています。


              つづく



    前回の分は、こちら


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100921#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100904/#p2



「井戸で鳴く黄金色のにわとり」
は、信州の伊那谷にあった「大島
城」に伝わっている話。
その話をヒントにして、みほようこ
が書いたもの。