瑠璃寺の青獅子4
「じゃあ、お面は?」
「お面もある」
和尚は、なにか彫ってもらうもの
はないかと、考えました。
「そうだ」
「なにか彫るものがありますか」
「獅子頭が、だいぶ傷んでおる。
じゃあ、獅子頭を彫ってもらお
うか」
「獅子頭といいますと?」
「この寺では、春の祭に、獅子舞
がおこなわれる。
五穀の豊穣や、人々の無事を祈る
獅子舞なのじゃ」
「和尚さま。こんな田舎で、獅子
舞なんて珍しいですな」
「そうじゃのぅ。瑠璃寺の獅子舞
は、比叡山の日吉社の獅子舞が、伝
承されたものだといわれている。
つづく
前回の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20101007#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20101005#p1
「瑠璃寺の青獅子」は、信州の伊
那谷にある「瑠璃寺」に伝わって
いる話をヒントにして、みほようこ
が書いた物語。
物語の無断転載・再配布を禁止します。