愛犬「りゅう」 ばいばい、またね 6
ぼくは先生にだかれて、その家へ入って
いった。
「まあ、かわいい犬」
奥さんはそういって、ぼくをやさしくだ
いてくれた。
やさしそうなめがねをかけた人だった。
やさしそうに見えたけれど、本当はきび
しい人だということを、ぼくは後で知った。
車にゆられてきたので、ぼくはおしっこ
がしたくてたまらなかった。
「くぅーん、くぅーん」
「おしっこがでちゃうよぉー」
ぼくはひっしで知らせたが、奥さんには
通じなかったみたい。
ぼくはこらえきれなくなって、奥さんの
手の中へ、おしっこをしてしまった。
「ああ、はずかしい」
でも、しかたがない。こらえきれなかっ
たのだから。
「あら、おしっこ・・・」
奥さんはあわててぼくを下へおろした。
つづく
前回の分
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20120208#p1