愛犬「りゅう」 ばいばい、またね


愛犬「りゅう」 ばいばい、またね 9


5 「さわるな、これはぼくのごはんだ」


ぼくには一つだけ悪いくせがあった。
あーちゃんがごはんを運んでくると、
ぼくは食器の中へすばやく手を入れて
しまうのだ。
なぜ手を入れるようになったかというと、
ぼくには弟と妹がいて、早くごはんを食
べないと、ごはんがなくなってしまった。



だから、ぼくはごはんが運ばれてくると、
「これは、ぼくのごはんだ。 おまえたち、
手をだすな」って、弟や妹にいっていた
のだ。
今は誰もごはんをとる人はいないのに、習
慣ってこわいね。



食事のたびに、ぼくはあーちゃんにしから
れた。
「りゅう、食器に手を入れてはだめよ」
「これはりゅうのごはんだよ。 誰もとら
ないから、安心しておたべ」と。
あーちゃんはそういったけれど、ぼくは安
心できなかった。
まさか、あーちゃんがぼくのごはんを食べ
てしまうとは思わなかったけれど・・・ね。


        つづく



    前回の分


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20120215#p2