古事記神話「古事記物語」


   稲羽のしろうさぎ 3


八十神たちが、稲羽の気多(けた)
海岸を通りかかると、毛のない赤
はだかのうさぎが、地べたにころ
がり苦しんでいました。



それをみた八十神たちは、
「うさぎよ。毛をはやしたければ、
海の水につかり、高い山の上で風
に吹かれて寝ているがいい。そう
すれば、すぐ毛がはえてくるぞ」と、
うさぎをからかいました。



八十神たちのことばを信じたうさ
ぎは、早速海につかりました。
ずぶぬれになったうさぎは、よた
よたしながら高い山へ登り、そこ
で寝ころんでいました。


        つづく