海彦山彦


    海彦山彦 4


「どうしよう。あのつり針は、兄
さんが一番大切にしているもの。
おこるだろうな」
山彦は、しょんぼりして家に帰り
ました。



海彦も、一日中、山の中を歩きま
わりましたが、一匹も獲物をとる
ことができませんでした。
「山彦。おれのつり道具を返して
くれ」
「兄さん、ごめん。つり針をなく
してしまった」



「何、つり針をなくしたと。あの
つり針は、ただのつり針ではない。
その日とりたいと思っている魚が
つれるふしぎな力を持っているつ
り針なのだ。許さん。明日、海へ
行って、なくしたつり針をさがし
てこい」
海彦が大声で怒りました。


        つづく