海彦山彦


    豊玉比売 9


海の神が鯛の喉を調べると、大き
なつり針がささっていました。
すぐにつり針を取り出し、きれい
に洗い清めました。



「山彦よ。探していた針は、これ
かな」
「はい。その針です」
「このつり針を兄に返す時、こう
いいなさい。このつり針は、ぼん
やりの針・猛り狂う針・貧しい針・
役立たずの針といって、後ろ手に
兄にわたしなさい」
そして、続けていいました。


        つづく