海彦山彦


   豊玉比売の出産 1


しばらくして、豊玉比売が、山彦
の所へやってきました。
「私のお腹には、山彦さまのこど
もがおります。天の神の御子を、
海原で生むわけにはいきません。
だから、ここへやってきました」



「そうか、赤ちゃんができたのか。
いつうまれるのじゃ」
「もうすぐうまれます」
「それは大変だ。早く産屋をつく
らなくては」
山彦は、海辺の渚に、産屋を作り
始めました。


         つづく