火とぼし山


   次郎の見合い 7


一ヶ月後。
きよと次郎は、再び会いました。
「次郎さん。姪の人と見合いをし
たの」
きよが、さりげなく聞きました。
次郎の見合いの話など、きよは
聞きたくありません。
でも、気になってしかたがなかっ
たのです。



「うん。した」
「次郎さんは、その人と会わない
といったのに、どうして会ったの」
「きよちゃん、ごめん。おれ、主人
にことわりきれなかったんだ」
次郎が、すまなそうにいいました。


         つづく