おさなごのひとみ


  平林たい子著  「鬼子母神」より


   この艶やかな目、
   どんな良質の水銀の裏打ちある磨きの

   よい鏡よりもよく澄んでいるこの目は、

   まだいくらも人生を映していないとい

   うことで真新しく、こんなに綺麗なのだ。



  「鬼子母神」は、下記の本に収録されている。



  



    平林たい子さん

 ・ 明治38年−昭和47年
 ・ 長野県 旧・諏訪郡中洲村生まれ
 ・ 本名 タイ。


 ・ 貧しい農家の出身であることや、小学校
   のときロシア文学を読んだことなどが、
   後の活動に影響を与えた。
   旧・諏訪高等女学校(土屋文明校長)卒
   業後、上京。アナーキストグループと近づ
   いて、朝鮮半島中国東北部を放浪、結婚。



 ・ 昭和初期からプロレタリア文学作家として
   執筆を開始。
   病と貧しさに耐えながら、反戦の意思を貫く。
   戦後、多くの作品を発表。



 ・『かういう女』で第1回女流文学大賞を受賞。
   市川房枝などとも交流を持ち、婦人運動家、
   無産運動家、社会運動家としても著名である。


      作品


     一人行く
     かういふ女
     私は生きる
     地底の歌
     鬼子母神
     砂漠の花
     秘密    など多数