ふしぎな鈴「小桜姫とふしぎな鈴」の章


ふしぎな鈴「小桜姫とふしぎな鈴」7


ところが、ある日、姫がおそれていた大きな戦
が始まりました。それは三年にもわたる、長い
きびしい戦でした。
ひとつきに何度となくくりかえされる夜討ち、
朝がけ、やあわせ、きりあい。どっとおこると
きの声、空をこがすのろし・・・。
戦はすざましいものでした。



「一日も早く、戦が終わりますように。どうか
みんなが無事でありますように」
姫は、一族のことを、毎日神様にお願いしました。
しかし、姫の祈りもむなしく、戦の最中に夫を
はじめ一族のほとんどが、城でうち死してしまっ
たのです。



姫は浜諸磯の先端の森の陰へ、仮家をつくり逃げ
ていました。そして、城が焼けおちるのを、対岸
のかくれ家で、悔しい思いでみていたのです。
「くやしい、くやしい・・・。なんとしても、に
くき北条をほろぼしたい」
心の優しい姫でしたが、三浦一族をほろぼした北
条を、姫はどうしても許すことができませんでし
た。
こうして鎌倉時代から続いた豪族三浦一族は、北
条早雲によって滅ぼされてしまったのです。



一年後。
姫は重い病気にかかり、三十四才の若さで、この
世を去りました。


    つづく



ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)

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