ふしぎな鈴「小桜姫とふしぎな鈴」6
年頃になった姫は、はっとするほど美しい娘
になりました。姫は姿が美しいだけでなく、
心の優しい人でした。
姫が二十才になった春のことです。
「姫、義意はわしがほれた男じゃ。この人なら、
姫を幸せにしてくれるだろう。姫、義意の所へ
とつぎなさい」
おとうさんは姫にいいました。
義意も姫を大変気に入ってくれました。そして、
姫は荒井の城主三浦義同の息子・義意の所へ嫁
ぎました。その時、義意はニ十五才。
みるからにたくましい、色黒の大柄な人でした。
大江家の一人娘が、なぜ三浦家へとついだのか
って、不思議に思うでしょうね。
おとうさんは姫にこどもが生まれたら、一人大
江家のあととりにするつもりだったようです。
しかし、仲の良い夫婦でしたが、何年たっても、
こどもは授かりませんでした。
その頃、三浦一族は、小田原の北条氏と、土地を
めぐる争いをしていました。
「くだらない争いをやめ、みんな仲良くくらせば
良いのに」
争いごとが嫌いな姫は、みんなが平和に暮らせる
ことを願っていました。
つづく
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
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