童話「白駒の池」


    「白駒の池」2


「それはそうだけれど」
「私は、清太さんのことを、使用人だなんて思っ
たことは、一度もないわ。私は、清太さんのこと
を、ほんとうの兄ちゃんだと思っているわ」
「おじょうさまの気持はうれしいけれど、おらは、
この家の使用人だから・・・ね」
貧しい農家に育った清太は、さみしそうにいいま
した。



清太は、十三才。
利口な少年でした。
長者の一人娘・きよは、三つ年下の十才。
清太は、長者の家で、馬の世話をしています。
長者の家では、何頭もの馬をかっています。
その中に、雪のように白い馬がいます。長者のじ
まんの馬でした。馬の名前は、白駒。白駒は、足
のはやい、利口な馬でした。



きよと清太と白駒は、大の仲良し。きよは、毎日
馬小屋へやってきて、白駒と遊んでいます。 
十三才の清太にとって、馬の世話はつらい仕事で
した。馬にえさをあげたり、近くの川へつれてい
き、馬の体を洗ったり、ブラッシングしたり、馬
小屋の掃除をしたり。
清太は、朝から晩まで、休むひまもなく働きました。


     つづく