童話「白駒の池」


     「白駒の池」4


「私、清太さんと一緒に、馬にのっている時が、一
番幸せ」
「おらも。きよちゃんと馬にのっている時が、一番
幸せだよ」
夢中で話をしているうちに、高原へつきました。



高原には、赤褐色の花が、あちこちに咲いています。
「ねぇ、清太さん。これが座禅草の花なの?」
「そうだよ。きよちゃん。おもしろい形をしている
だろ。座禅草の花は、小さなお堂の中で、坊さんが
座禅をくんでいるような花だといわれている」
「よくみると、そんな感じね。あら、ここには、四
つも花が咲いているわ。坊さんたちが四人で話し合
いをしているみたいね」



「赤褐色の部分は、仏焔苞(ぶつえんほう)という
んだって」
「ぶつえんほう?」
「そう、ぶつえんほう。そして、黄色の部分が、花
だよ」
清太は、花を指さしていいました。
「座禅草はね、雪が降っても、霜がおりても、25
度前後に体温を保っているんだって。その体温で、
雪をとかして、芽をだすそうだよ」



「清太さんて、植物にくわしいのね」
かあちゃんが、教えてくれたんだ。きよちゃんに
も、いつかかあちゃんを紹介するね」
 

     つづく