童話「竜の姿をみた少女」


   童話「竜の姿をみた少女」3
 

しかし・・・。
村にもどった三郎は、なぜか竜になっていたの
です。三郎は、なつかしいわが家にもどってき
ました。でも、愛する妻は、どこにもいません
でした。
三郎は、「おっかあ、おっかあー、どこにいる。
いたら返事をしてくりょー」とさけびながら、ひ
っしで妻を探して歩きました。



最後に、三郎は、諏訪湖で妻とあうことができ
ました。妻も竜になり、諏訪湖でくらしていた
のです。三郎と妻は、諏訪湖の奥深くに住み、
二人で仲良く暮らしているそうです。
こんなお話でした。




「とうちゃん。三郎は、なぜ竜になってしまった
の?」
「なぜだろうね。三郎は、長い間地の国で暮らし
ていたからだとか、神様からもらった鹿のきもで
つくったもちを、千枚も食べたからだとか、いろ
いろいわれているけれど、ほんとうの理由はわか
らないね」



「とうちゃん。竜って、どんな姿をしているの?」
「さあ、どんな姿をしているのだろうね。とうち
ゃんも絵でしかみたことがないからわからない。
今夜、りゅうの絵をみせてあげるよう」
おとうさんとかなは、しらかば湖のほとりで、と
きどき竜の話をしました。
竜になった三郎の話を聞いたかなは、「しらかば
湖に竜が住んでいるといいな」と思うようになり
ました。


                      つづく


童話「竜の姿をみた少女」は、みほようこの二冊
目の童話集・「竜神になった三郎」の続編として
書いたものです。




竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

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