童話「竜の姿をみた少女」


童話「竜の姿をみた少女」2


「ねえ、とうちゃん。村に伝わっている竜の話っ
て、どんな話なの?」
「じゃあ、今日は、竜になった三郎の話をしてあ
げよう」
そういって、おとうさんは、竜になった三郎の話
をしてくれました。



そのお話とは。
むかーし、昔。ずぅーと昔。
たてしな山のふもとに、小さな村がありました。
その村に、太郎・次郎・三郎という、仲のいい兄
弟が住んでいました。
兄たちは、末っ子の三郎を「三郎や、三郎や」と
いって、かわいがってくれます。三郎も、兄たち
が大好きでした。



ところが、三郎が、あまりに美しい妻をもらった
ので、兄たちは三郎にやきもちをやきました。
三郎をこまらせようと、兄たちは何カ月もかけて相
談しました。そして、三郎を魚つりにさそいだし、
湖の深いふちにつき落としてしまったのです。
「あそこの兄弟は、ほんとに仲がいいのぅ」と、村
の人たちからうらやましがられていたのに、どうし
たのでしょうか?



湖につき落とされた三郎は、神様に助けられ、地の
国の王子になりました。
三郎は、地の国で十年近く暮らしました。でも、三
郎は、妻のことを一日も忘れたことがありません。
三郎は、神様の許しをもらい、やっとのことで村に
もどってきました。


                           つづく



童話「竜の姿をみた少女」は、みほようこの二冊
目の童話集・「竜神になった三郎」の続編として
書いたものです。




竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

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