かきつばたになった少女


かきつばたになった少女11


すると、水面にはかわいい顔がうつっています。
「あら、ほんとうにかわいい顔」
かきつばたは、うっとりしながら、
水面にうつった自分の顔をながめていました。



ところが・・・。
そこへ「ぴゅぅー」と強い風がふいてきました。
鏡のように平らだった水面が、ざわざわと波立
ちました。
そして、水面にうつったかきつばたの顔も、た
ちまちみにくい顔に変わってしまいました。
「さっきまで、あんなにかわいくみえたのに・・・。
このみにくい顔は何?本当にこれが私の顔なの?」
かきつばたは、あまりのみにくさにおどろき、そ
の場にたちすくんでしまいました。



「かきつばたさん、どうしたの?」
山彦が心配して近づいてきました。
「山彦さんは、私の顔はとても美しいといったけれ
ど、本当はみるにたえないみにくい顔だったのね」
「そんなことはない。きみの顔は、女神さまのよう
に美しい。まぶしいくらいの美しさだ」


                         つづく



「かきつばたになった少女」は、みほようこの四
冊目の童話集・「ライオンめざめる」に収録され
ています。


「ライオンめざめる」は、風の神様からのおくり
ものシリーズ4。
今年十月七日、「鳥影社」から発行されました。


http://www.choeisha.com/



ライオンめざめる―風の神様からのおくりもの〈4〉 (風の神様からのおくりもの (4))

ライオンめざめる―風の神様からのおくりもの〈4〉 (風の神様からのおくりもの (4))