ライオンめざめる


     ライオンめざめる2


「娘が生まれ、七才になった日、ライ
オンのロケットを、娘にプレゼントし
よう」
おとうさんは、そう心に決めました。
そして、そんな日がくるのを、楽しみ
にして待っていたのです。
「かな、とてもよくにあうよ。ロケッ
トを大切にするのだよ」
おとうさんは、にっこりしながらいい
ました。



何カ月か過ぎました。
ある夏の夜のことでした。
「うーん・・・うーん・・・」
どこからか、うなり声が聞こえてきます。
「だれかしら?」
かなは、声のする方へ行ってみました。



すると・・・。
うなり声は、ライオンのロケットが入
れてある机の方から聞こえてきました。
「まさか・・・?」
そう思ったかなは、居間へもどりました。



「うーん・・・うーん・・・」
しばらくすると、またうなり声が聞こ
えてきます。
うなり声が気になったかなは、ライオ
ンのロケットを手にのせて、じっとみ
ていました。
「金でできているライオンが、うなる
はずはないし・・・ね」
かなは、そっとつぶやきました。


       つづく


「ライオンめざめる」は、みほようこ
の四冊目の童話集・「ライオンめざめる」
に収録されています。


「ライオンめざめる」は、風の神様から
のおくりものシリーズ4。
今年十月、「鳥影社」から発行されました。




ライオンめざめる―風の神様からのおくりもの〈4〉 (風の神様からのおくりもの (4))

ライオンめざめる―風の神様からのおくりもの〈4〉 (風の神様からのおくりもの (4))